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東京地方裁判所 昭和63年(ワ)2071号 判決

スイス国ベルクディーチコン・(イム・ヒンテレン・ベルノルト)・

ヘレンベルクシュトラーセ一〇

原告

パウル・オップレヒト

右訴訟代理人弁護士

牧野良三

右輔佐人弁理士

矢野敏雄

久野琢也

東京都板橋区坂下三丁目三五番五八号

被告

大日本インキ化学工業株式会社

右代表者代表取締役

川村茂邦

右訴訟代理人弁護士

副島文雄

右輔佐人弁理士

松下義勝

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、金二九〇万円及びこれに対する平成四年三月一二日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、次の特許権(以下「本件特許権」といい、その特許発明を「本件発明」という。)を有していた。

(一) 発明の名称 電気縫合せ抵抗溶接法

(二) 出願日 昭和四七年三月二四日

(三) 出願番号 特願昭四七-二九六四四号

(四) 優先権主張 スイス国一九七一年三月二六日出願に基づく。

(五) 公告日 昭和五五年一月一八日

(六) 公告番号 特公昭五五-二一五八号

(七) 登録日 昭和五九年六月二七日

(八) 登録番号 特許第一二一三七五五号

(九) 特許請求の範囲 本判決添付の特許公報(以下「本件公報」という。)の該当項記載のとおり。

2  被告は、昭和六一年六月一六日ころ、台隆印鉄製缶廠股〓有限公司(以下「台隆印鉄」という。)に対し、全自動フリーサイズ溶接製缶機(ドドQL二六一二型)(以下「本件製缶機」という。)を、代金額五八○○万円で販売した。

3  本件製缶機の構造及び作用等は、別紙物件目録記載のとおりである。

4  本件製缶機による溶接方法は、一本の単線電極銅線と二つのローラ電極(大小ローラ電極)を使用して電気縫合せ抵抗溶接する方法であり、またこの二つのローラ電極間の連続溶接電極銅線として、溶接領域において前記ローラ電極の圧力により電極銅線の変形が生じないように成形することにより引張り荷重に対する弾性限度を増加させた電極銅線を用いるようにしたことを特徴とする電気縫合せ抵抗溶接方法である。

本件製缶機による溶接方法は、電極銅線を成形硬化することによりループ形成を回避できるので、連続的な溶接が可能になり、溶接速度を高めることができ、また電極銅線を予め成形することにより、ループ形成の危険が除去され、完全な制御のもとに電極銅線を案内することができ、更に設計上の負担を軽減することができるという作用効果上の特徴を有する。

5(一)  本件発明において使用する電極線と本件製缶機による電気縫合せ抵抗溶接方法において使用する電極銅線とは同一であるといえるから、本件製缶機による溶接方法は本件発明の技術的範囲に属する。

(二)  本件製缶機による溶接方法は、前記4の電極銅線を使用しなければならないから、本件製缶機は、本件発明の実施にのみ使用される装置であって、被告がこれを業として販売する行為は、本件特許権を侵害するものとみなされる。

6  本件発明の実施料は、売上高の五%が相当であるから、被告は本件製缶機の販売により二九〇万円の利益を得たことになるが、被告の右販売行為は、原告の許諾を得ることなく行われたものであり、被告の得た右利益は原告の損失のもとに取得されたものであるから、被告は、法律上の原因なくして、利益を受け、これにより原告に損失を与えたものである。

被告は、右販売の際、本件製缶機が本件発明の実施にのみ使用されるものであることを知っていた。

7  よって、原告は、被告に対し、不当利得金返還請求権に基づき、金二九〇万円及びこれに対する不当利得行為後である平成四年三月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2のうち、代金額は否認し、その余は認める。

3  本件製缶機が別紙物件目録記載のうち次の構造及び作用等を有することは認める。なお、被告が販売した右溶接製缶機においては、銅線ワイヤの巻掛け方は数通りある。

(一) 別紙物件目録1ないし8項。

(二) 同9項のうち、「ローラ2C、三Cは、・・・円形断面の銅線から成る銅線ワイヤを・・・平状断面の銅線に縮小成形して、溶接材としての缶胴と同然の接触面を大きくしかつ均一にしている」(4頁16行ないし5頁1行目)との部分。

(三) 同10ないし12項。

(四) 同13項のうち、「大ローラ電極に作用するばねeの押圧力によって缶胴40のオーバーラップ部に溶接に必要な溶接圧が加えられて」(7頁末行ないし8頁2行目)を除いた部分。

(五) 同14項のうち、「更に詳しく説明すると、使用時に介在するワイヤの断面は平伏であって、幅、なかでも、平坦面部分の幅が缶胴40のオーバーラップ部の幅より大きい。このため、缶胴40のオーバーラップ部を含む缶胴面にワイヤの平坦面が接触し、この平坦面には」(8頁5行ないし9行目)との部分。

(六) 同15及び16項

(七) 同18ないし21項。

(八) 同22項のうち、「導電率一〇〇%」(11頁16行目)、「その運転は第6図に示すとおりである」(11頁末行)及び同項末尾のなお書き(12頁10ないし11行目)を除いた部分。

4  同4のうち、本件製缶機による溶接方法が、一本の単線電極銅線と二つのローラ電極(大小ローラ電極)を使用した電気縫合せ抵抗溶接方法であることは認めるが、その余は否認する。

5  同5はいずれも否認する。

6  同6は否認する。

7  同7は争う。

三  被告の主張

1  本件特許請求の範囲の「溶接領域において前記電極支持ローラの圧力により電極線の変形が生じないように」について

(一) 本件発明は、連続する一本の電極線を用いて、その電極線の緊張を維持しながら缶を溶接する方法であり、かつ、電極線の永久的変形(伸び)を吸収する手段(ループを伸ばす手段)を必要としないことに特徴を有するものであるから、仮に電極線が溶接点以外の個所で永久的変形を生じたとすると、その伸びを吸収する手段がない以上、一本の連続する線ではその伸びが電極線全体に伝わって電極線の緊張を維持できなくなり、電極線全体がたるみ、そのたるみによって溶接機各部の運転に支障を来すことになる。このように、「溶接点」以外の他の個所において電極線の伸びが生じた場合であっても、溶接点で電極線の伸長が生じた場合とまったく同様の問題が起きるのである。したがって、本件発明の電極線は、「溶接点」以外の個所でも伸びないことを当然の前提とするものと解すべきであって、「溶接領域において」は、溶接領域以外の部分ではもとより当然のこととして、「溶接領域でさえも」の意味に解するのが妥当である。

(二) 本件製缶機においては、電極線が大ローラ電極を離れて小ローラ電極に供給されるまでの間にループが形成されないが、これは、電極線に大電極ローラ等で駆動走行力並びに引張り力が与えられ、中間ワイヤテンション調整部、マルチグループプーリ、最終ワイヤテンション調整部、案内ローラ等が電極線の伸びを吸収する機能を有しているからである。また、電極線の伸びを吸収する手段装置は、電極線が一本の線であることから、そのたるみを吸収するためには、線の前端、後端、その中間部のいずれかで緊張させれば足り、大ローラ電極と小ローラ電極の間に設ける必要はない。

(三) 右のとおり、本件発明が伸びない特殊な電極線を使用して予めループの発生を回避し、電極線の緊張を維持しつつ円滑な溶接を行うことを特徴とする方法であるのに対し、本件製缶機は市販の銅線ワイヤを使うため、溶接の前、中、後を問わず銅線ワイヤが伸びるので、伸びの吸収手段を各所に設けて伸びを吸収し、電極線の緊張を維持しつつ円滑な溶接を行う機械であって、その技術的思想を異にするものである。

2  本件特許請求の範囲の「弾性限度」について

(一) 本件発明は、連続溶接電極線として弾性限度を増加させ、弾性限度を越える永久的伸長を一切許容しない電極線を用いる方法であり、たとえ弾性限度を増加させたとしても、弾性限度を越え永久的伸長を許容する電極線を用いる場合には、本件発明の技術的範囲には属さないというべきところ、本件製缶機は、弾性限度を超える永久変形を許容する電極を用いることができる製缶機であるから、本件発明の技術的範囲に属さない。

すなわち、本件発明は、二つの上下ローラ電極を使用して連続溶接電極線内にその弾性限度を超えない応力しか生じないよう、加圧加熱し、溶接点における変形のうちで永久変形を一切排除して溶接する方法であるところ、右にいう弾性限度とは、材料、すなわち電極ワイヤが完全に弾性の性質を保つ最高限の応力であり、この値は弾性領域に属し、一切の永久ひずみを排除するものであるが、弾性限度の値をこのような定義どおりに定めると、測定精度によって変わるという不都合が生ずるので、工業的には実用上無視して差し支えない永久ひずみの値を測定し、この永久ひずみの値に達したときの応力をもって弾性限度を定めることとされており、この意味における弾性限度は、〇・〇〇一ないし〇・〇一%の値とされている。

(二) 本件製缶機は、溶接後の電極線の伸びを最大限二・〇%に調整するような構造であり、二・〇%の永久伸びは弾性限度の〇・〇〇一ないし〇・〇一%の永久伸びに比べるとはるかに大きいものである。すなわち、本件製缶機は、弾性限度を越える永久変形を許容する電極線を用いることができる製缶機であって、本件発明にかかる方法を実施するものではない。

(三) 原告は、銅のように目立った降伏点を示さない材料については、実用上差し支えない程度の永久ひずみを生ずる応力(耐力)をもって弾性限度とするが、本件特許請求の範囲にいう「弾性限度」は、永久ひずみが〇・二%生じたときの応力(〇・二%耐力)である旨主張する。

しかし、材料の弾性限度と降伏点とはまったく別個のものであり、弾性限度は、材料一般について、降伏を前提とする一切の永久ひずみを許容しない概念であり、銅やアルミニウム等について例外を設けるものではない。また、本件特許出願の願書に添付された図面(第1図)をみると、三つの特性曲線において、仮に、引張り応力25 kp/mm2(特性曲線2)、28 kp/mm2(特性曲線3)の各値を圧延後の弾性限度とみたとしても、各値はそれぞれ、〇・〇〇二七%、〇・〇九四%の永久ひずみを生じたときの引張り応力に対応しているものであり、〇・二%耐力を示していない。このことは、同図の特性曲線2、3について、応力とひずみが比例する直線部分に対し、これと平行に応力25kp/mm2、28kp/mm2の各対応点からそれぞれ平行線を引き、これらの平行線と横軸との交点の座標を求めることにより知ることができる。

3  本件特許請求の範囲にいう「圧延、引抜、成形または硬化等の加工」について

(一) 原告は、本件特許の審決取消請求事件(東京高等裁判所昭和五六年行ケ第一七二号)において、当初の線断面の六〇~七五%に達する程度まで圧延することが必要であり、その程度に圧延して、初めて本願発明の目的である高い弾性限度を得ることができ、これにより電極支持ローラ間の線ループの形成を防止しうる旨を主張していたのであるから、本件発明にいう電極線の「圧延、引抜、成形または硬化等の加工」とは、単に圧延等の加工をするだけでは足りず、当初円形断面の電極線を六〇~七五%の断面に縮小する加工をすることであるというべきであり、加工後の断面が当初断面の七五%を越える場合、すなわち加工度が小さく縮小が少ない場合には、本件特許の技術的範囲には含まれないというべきである。

(二) 仮に、本件製缶機におけるワイヤプロファイル部で行われる加工が、別紙物件目録に記載のとおりであったとしても、当初円形断面形状の電極線は、ワイヤプロファイル部通過によっても、当初断面の八九・一%の断面を有しているから、この点からしても、本件製缶機による溶接方法は本件発明の技術的範囲に属さないことが明らかである。

四  被告の主張に対する原告の反論

1  「溶接領域において前記電極支持ローラの圧力により電極線の変形が生じないように」について

(一) 本件発明は、「溶接領域」において、電極支持ローラの圧力により電極線の変形が生じないように、換言すれば、「弾性範囲内で変形され」ても「その当初の形状に復帰する」ように、引張り荷重に対する弾性限度を増加させた電極線を用いる方法であり、本件特許請求の範囲にいう「溶接領域」とは、本件明細書の記載及び図面を合理的に解釈する限り、「溶接点」又は「溶接個所」をいうと解すべきである。このことは、本件明細書の発明の詳細な説明において、「電極線の伸長」と「ループの形成」とが同義で用いられ、「電極線の伸長」と「ループの形成」、あるいは「断面積の縮小」と「電極線の変形」とがそれぞれ対応して用いられ、「溶接点」と「溶接領域」とが同義に用いられていることからも明らかであり、右「溶接領域」とは、上下の電極支持ローラに巻き掛けられて送られる電極線の被溶接材の縫合溶接部分に当接して対抗する領域をいうと解されるのである。

このように、本件発明は、「溶接領域」、すなわち、溶接点という極く狭い個所において、電極指示ローラの圧力により「弾性限度内で変形され」ても「その当初の形状に復帰」し、電極線の変形(ループの形成)が生じないように、引張り荷重に対する弾性限度を増加させた電極線を用いることをもって発明の特徴とするものである。なぜなら、自動式溶接機では、溶接領域にループが形成されると完全な溶接継ぎ目を確保することが不可能となるからである。したがって、「溶接領域」以外の個所において、溶接領域における圧力以外の理由で電極線の変形ないしループの形成が生じようと、本件発明とは無関係なのであり、「溶接領域」以外の個所において、伸び吸収能力を持つ装置があろうと、何ら関係がないのである。

(二) 被告は、電極線が溶接点以外の個所(例えば、大電極ローラに進入する前の位置、大電極ローラと小電極ローラの間の位置、若しくは小電極ローラ通過後の位置のいずれか少なくとも一つの位置)で永久的変形(伸び)を生じたと仮定すると、伸びを吸収する手段がない以上、一本の連続する線ではその伸びが電極線全体に伝わって電極線の緊張を維持できなくなり、電極線全体がたるみ、そのたるみによって溶接機各部の運転に支障を来すことは明らかである旨主張する。

しかしながら、「溶接領域において」は、「前記2つの電極支持ローラ間の連続溶接電極として」という限定条件を伴うものであり、右「2つの電極支持ローラ間」とは、大ローラ電極(第一の電極支持ローラ)の溶接作用箇所から、小ローラ電極(第二の電極支持ローラ)の溶接作用個所に供給されるまでの間をいうものであり、本件発明が右の「2つの電極支持ローラ間」における電極線の「ループ形成の回避」を目的とするものである以上、それ以外の箇所、例えば、電極線が大ローラ電極に至るまでの間、及び電極線が小ローラ電極の溶接作用箇所を離れた後の箇所においてループが形成されようとも、これらのループは本件発明とはなんらの関係がないのである。

(三) 本件製缶機には、電極線が大ローラ電極(第一の電極支持ローラ)を離れて小ローラ電極(第二の電極支持ローラ)に供給されるまでの間においてループが形成されないのであり、右の溶接領域においては、銅線の伸びを吸収する装置を備えていないのであるから、この領域において銅線が伸びることはないのであり、この領域において銅線が電極支持ローラの圧力によって伸長せず、ループが形成されない以上、本件発明の技術的範囲に属するものといわざるを得ない。

2  「弾性限度」について

(一) 本件特許請求の範囲にいう「弾性限度」とは、ある小さい荷重を基準荷重とし、段階的に荷重を増加させては基準荷重に戻し、永久伸びを測定し、永久伸びを生じない最大荷重を求め、試験片平行部の原断面積で割って得られる値であるが、実用上、特に工業的な目的の場合には、弾性限度を降伏点をもって表すこととされている。そして、銅のように目立った降伏点を示さない材料については、一定の永久ひずみ(通常は〇・二%)を生ずる応力が耐力と呼ばれ、これが降伏点と規定されているのである。このように、弾性限度も耐力も降伏点を中間項として密接に関連する概念である。本件願書に添付された図面第1図に弾性限界値として示された各σEも、右測定方法に従って測定された弾性限度を意味しているのである。

(二) 被告は、同図の特性曲線2、3について、応力とひずみが比例する直線部分に対し、これと平行に弾性限度としての応力25kp/mm2、28kp/mm2の各対応点からそれぞれ平行線を引き、これらの平行線と横軸との交点を求め、この交点をもって右応力に対応する永久ひずみであると主張する。

しかしながら、右のような手法は、引張り荷重を実際に除去する際に、応力とひずみとが特性曲線の直線部分に対して極めて厳密に平行に推移するであろうことを前提としているものであるが、このような前提が実際に保証される技術的根拠はない。そしてこの手法は、高い精度を必要としない耐力の測定方法に従うものであるところ、弾性限度の測定に際しては〇・〇一~〇・〇三%以下の永久伸びを測定する必要上極めて高い信頼性と測定精度が要求されるものであって、被告主張はこのようなことを考慮することなく、弾性限度の測定方法としては精度的に不十分な耐力の測定方法に従って、弾性限度に対応する永久ひずみを求めた点に本質的な誤りがある。

(三) 被告は、電極線の材料の弾性限度を規定する永久ひずみ値は〇・〇〇一~〇・〇一%である旨主張する。

しかしながら、弾性限度を規定する永久ひずみ値は、一九八〇年から、〇・〇一~〇・〇三%とされているのであって、この数値を前提に弾性限度が議論されなければならない。

3  「圧延、引抜、成形または硬化等の加工」について

本件発明にかかる溶接法に用いられる電極線は、もともと、その製造工場で圧延されるのであって、それを前提としたうえで、必要に応じて溶接機のワイヤプロファイル部で圧延するのであるから、ワイヤプロファイル部での圧延の結果が当初円形断面の電極線を六〇~七五%の断面に達しないことがあったとしても、それは当然のことである。

第三  証拠

証拠は、本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  請求原因1の事実は、当事者間に争いがない。

同2のうち、被告が、昭和六一年六月一六日ころ、台隆印鉄に対し、本件製缶機を販売したことは、当事者間に争いがない。

同3の本件製缶機の構造及び作用等については、別紙物件目録1ないし8項、同9項の「ローラ2C、3Cは、・・・円形断面の銅線から成る銅線ワイヤを・・・平状断面の銅線に縮小成形して、溶接材としての缶胴と同然の接触面を大きくしかつ均一にしている」(4頁16ないし5頁1行目)の部分、10ないし12項、13項のうち「大ローラ電極に作用するばねeの押圧力によって缶胴40のオーバーラップ部に溶接に必要な溶接圧が加えられて」(7頁末行ないし8頁2行目)を除いた部分、同14項の「更に詳しく説明すると、使用時に介在するワイヤの断面は平伏であって、幅、なかでも、平坦面部分の幅が缶胴40のオーバーラップ部の幅より大きい。このため、缶胴40のオーバーラップ部を含む缶胴面にワイヤの平坦面が接触し、この平坦面には」(8頁5行ないし9行目)との部分、同15及び16項、同18ないし21項、同22項のうち「導電率一〇〇%」(11頁16行目)、「その運転は第6図に示すとおりである」(11頁末行)及び同項末尾のなお書き(12頁10ないし11行目)を除いた部分については、当事者間に争いがない。

二  そこで、本件製缶機が、本件発明の実施にのみ使用される装置であるか否かについて、判断する。

1  まず、本件特許請求の範囲にいう「溶接領域において前記電極支持ローラの圧力により電極線の変形が生じない」の意義について、検討する。

(一)  「溶接領域において前記電極支持ローラの圧力により電極線の変形が生じない」との要件のうちの「溶接領域において」の意義についてみると、本件明細書の特許請求の範囲においては、「溶接領域において」と記載されているのみであって、その具体的範囲は必ずしも明確ではないので、本件明細書の発明の詳細な説明を参酌することとする。

甲第二号証によると、本件明細書の発明の詳細な説明には、二つの電極支持ローラを介して移動させられる単線電極を使用して行われる電気縫合せ抵抗溶接方法に関する従来技術について、「溶接工程中に単線電極が溶接点で高温に曝らされ圧延すなわち線の伸長と相当する断面積の縮小が生ずることは公知である。この結果、両方の電極支持ローラの間にループが形成されることになる」(本件公報2欄3ないし5行)と記載されたうえ、「溶接休止期間中ループを伸ばす方法が公知である。然るに所謂自動罐胴製作機械においてはループの伸ばしは不可能である。」(同欄13ないし16行)と記載され、本件発明は、従来技術においては、電極線が圧延により伸長してループが形成され、このループを伸ばすためには、溶接を休止しなければならず、連続的に溶接作業を行うことができないという欠点があったことを指摘している。また、本件明細書の発明の詳細な説明の記載によると、本件発明は、そのような欠点の解決手段として「線ループの形成を防止する」(同欄17、18行)との考えから、具体的には「電極支持ローラ間の連続溶接電極線として、溶接領域において前記電極支持ローラの圧力により電極線の変形が生じないように、圧延、引抜、成形、硬化等の加工により引張り荷重に対する弾性限度を増加させた電極線を用いて、ループの形成を回避しようとする」(同欄18ないし23行)との方法を採用し、その結果「線を後方に引張る上部ローラヘッドを取外すことなく自動溶接機において、両電極支持ローラを順次貫通する単線電極によって連続加工を行うことができる。」(同6欄13ないし16行)との効果を生ずるに至ったことが明らかである。

そうすると、本件発明は、ループ処理のために溶接を休止するという従来技術の欠点を解決し、溶接作業を連続的に行うことを可能にするために、高温及び高圧という条件の下でも変形しない電極線を用いることととした溶接方法というべきであるから、ここにいう「溶接領域において・・・変形が生じない」とは、高温及び高圧の条件下にない箇所ではもちろんのこと、従来変形が生ずることが公知とされた、高温及び高圧の条件下にある「溶接領域でさえも変形が生じない」との意味であると認めるのが相当である。

(二)  次に、「電極支持ローラの圧力により電極線の変形が生じない」の意義について検討すると、本件特許請求の範囲においては、一方では「電極支持ローラの圧力」と記載されて、問題となる変形が圧縮によるものかのような記載でありながら、他方では「引張り荷重に対する弾性限度」と記載されて、問題となる変形が伸びであるかのように記載されている。したがって、特許請求の範囲の記載のみでは、「電極支持ローラの圧力による電極線の変形」と「引張り荷重に対する弾性限度」とが直ちに結びつかないから、「電極支持ローラの圧力による電極線の変形」が一義的に解釈しえない不明確さがあるものといわざるを得ない。

そこで、本件明細書の発明の詳細な説明をみると、「溶接工程中に単線電極が溶接点で高温に曝らされ圧延すなわち線の伸長と相当する断面積の縮小が生ずることは公知である。」(本件公報2欄3ないし5行)、「しかるに両方の電極支持ローラの間では、電極ローラによる線の伸長に相当するループが形成される。」(同2欄11ないし13行)、「ローラ圧延では断面縮小は当初の六〇-七五%に達することがある。」(同2欄25ないし26行)、「例えば次に生ずる支配的溶接温度での電極支持ローラの溶接圧の下で引伸ばされたり圧延されたりする線の変形が生じないように」(同2欄29ないし32行)、「望ましくない線の電極支持ローラでの圧延およびこの結果生ずるループの形成は」(同2欄33ないし35行)との記載があることが認められる。右記載によれば、前記の「変形」とは、「伸び」を意味するものであることが明らかである。そして、このような伸びの原因については、「圧延」、「ローラ圧延」、「引伸ばされたり圧延されたり」のように、まちまちな説明がなされているけれども、これらの各記載においては「圧延」が共通するから、本件特許発明においては、電極線の伸びには少なくとも「圧延」が関与していることは明らかである。

(三)  右の(一)(二)の点からすると、「溶接領域において前記電極支持ローラの圧力により電極線の変形が生じない」とは、連続的に溶接作業を行うという目的達成のために、ループが生ずることが公知とされた溶接領域はもちろんのこと、他の箇所でも、圧延等の原因により伸びが生じない、との意味であることが認められる。

原告は、本件発明は溶接領域という狭い箇所において電極支持ローラの圧力により弾性限度内で変形されても当初の形状に復帰し、ループが生じないようにしたものであり、溶接領域以外の箇所で電極支持ローラの圧力以外の原因(特に張力)により伸びが生じても本件発明とは無関係である旨主張する。しかしながら、張力等による伸びが許容されることになると、本件発明においても従来技術のようなループ吸収装置を設ける必要を生じ、本件発明の自動(連続)溶接という目的を達しえなくなることが明らかであるから、本件発明においては、第一の電極支持ローラと第二の電極支持ローラの間においては、原因はともかくとして、電極線の伸びを回避する必要があるといわなければならないから、右原告の主張は採用できない。

2  次に「引張り荷重に対する弾性限度を増加させた電極線」の部分の意義について、検討する。

(一)  先ず、「弾性限度」の意義についてみる。

本件特許請求の範囲においては、「引張り荷重に対する弾性限度」とのみ記載され、その具体的内容、数値は明らかではない。そこで、本件明細書の発明の詳細な説明をみると、「加工により引張り荷重に対する弾性限度を増加させた電極線」(本件公報2欄21ないし22行)、「使用される線の強度に相応して、・・・その強度ないし硬度を著るしく上昇させる。」(同2欄27ないし33行)、「工場において既に希望する強度値例えば弾性限界値を賦与されたより硬い線を使用する」(同3欄4ないし5行)、「第1図に示した負荷伸長ないし張力伸長のダイヤグラムは、特性曲線1で、直径1.38mm、8.5kp/mm2の弾性限界値での引張り張力σEの銅線の例を示し、特性曲線2は、特性曲線1による相当する円形断面導線を大体(1.46(最大幅×最大高さ)×1.10)mm2の断面に圧延した後弾性限界値での引張り張力をσE~25kp/mm2を示す場合の例を示す。」(同3欄8ないし15行)、「断面を(1.48×1.09)mm2の断面に圧延して弾性限界値での引張り張力をσE~28kp/mm2に上昇させた強度の僅かな上昇の例を特定曲線3で示す。」(同3欄16ないし19行)、「より硬く引張強度の大きい線の弾性限界値(特性曲線2および3)においては弾性限界値はほぼ3倍の値に上昇する」(同3欄21ないし24行)、「弾性範囲内で変形されるので、当初の形状に復帰する。」(同3欄28ないし29行)等の記載がある。

また、成立に争いのない甲第二一号証、第二六ないし第二九号証、乙第六、第七号証、第一四号証並びに弁論の全趣旨によれば、(1)弾性限度は、荷重を除去すれば元の形に戻る限界の応力であって、材料が完全に弾性を保つ最高限の応力であり、弾性領域の概念であること、(2)したがって、弾性限度は、永久ひずみを許容しないものであり、弾性変形の領域における概念であるが、工業的には、実用上はある限度以内の永久ひずみは無視し、この限度の永久ひずみを生ずる応力を弾性限度と規定するのが通常であること、(3)右の永久ひずみの値としては、一般に〇・〇一ないし〇・〇三%あるいはそれ以下の数値を採る場合が多いこと、(4)他方、降伏点は、荷重を除いたのちに、明瞭な永久ひずみが認められる点であるが、銅のような材料では、降伏点は明瞭に現れないので、〇・二%の永久ひずみが残るような応力を耐力と称し、この耐力をもって降伏点に対応させていること、(5)耐力は、一定のひずみ(もとの長さの〇・二%)を生ずる応力であり、永久ひずみを許容してその生成を前提とした塑性領域の概念であって、弾性限度とは工学上まったく異なる概念であること、以上の事実が認められる。

右認定事実と、本件明細書の前記各記載とを照らして考えると、本件特許請求の範囲にいう「弾性限度」とは、「〇・〇一ないし〇・〇三%の永久ひずみを生ずる応力」をいうものと認められる。

(二)  原告は、弾性限度は実用上降伏点をもって表すこととされ、銅のように目立った降伏点を示さない材料については、〇・二%の永久ひずみを生ずる応力(耐力)が降伏点と規定されているとして、本件特許請求の範囲にいう「弾性限度」は〇・二%耐力をいう旨主張する。しかしながら、「弾性限度」を「〇・〇一ないし〇・〇三%の永久ひずみを生ずる応力」と解すべきことは前示のとおりであるのみならず、本件明細書に使用されている「弾性限度」ないし「弾性限界値」の語は、すべて右の意味において用いられており、これを耐力の意味に用い、あるいは〇・二%耐力を窺わせる記載がまったくないばかりか、本件明細書には「弾性限度」の意義を原告主張のように定義付けた記載はまったくないのであって、かえって、その発明の詳細な説明中の前記各記載、特に「弾性範囲内で変形されるので、当初の形状に復帰する。」(3欄28ないし29行)との記載に照らすと、本件明細書に用いられている「弾性範囲内」の語自体が永久ひずみを予定しないものであることが明らかであり、前掲各証拠に照らしても、原告主張のように解することはできない。

3  そこで、本件製缶機について、検討する。

(一)  前記一項で説示したとおり、本件製缶機が次のような構造及び作用等を有することは、当事者間に争いがない。

(1) 本件製缶機に、ワイヤブレーキ部B、中間ワイヤテンション調整部D、マルチグループプーリ部F、最終ワイヤテンション調整部Gが設けられていること。

(2) ワイヤブレーキ部Bは、本件製缶機を運転中伸びによってワイヤがたるんだときワイヤ張力が低下するため、両側の合成樹脂板からの押圧力によってブレーキディスク2bの回転が停止し、この停止の間にたるみ分だけ送られ、ワイヤ張力が所定値以上に復帰したときにブレーキディスク2bは回転し、ワイヤのたるみがなくなり、ワイヤの伸びを吸収するとの作用を営むものであること。

(3) 中間ワイヤテンション調整部Dは、軌道レール1dの外周に摺動ボックス2dを摺動自在に設け、摺動ボックス2dはばね4dで加圧支持され、摺動ボックス2dにはローラ3dを回転自在に取り付けられている構造であり、ワイヤ張力が下がらないように、ローラ3dは摺動ボックス2dとともにばね4dに押されて摺動し、この摺動によってワイヤの張力を一定に保持するとの作用を営むものであること。

(4) マルチグループプーリ部Fは、使用時にかけられたワイヤを引っ張って駆動し、小ローラ電極2eをはじめとして、各部や案内ロールを駆動させるものであること。

(5) 最終ワイヤテンション調整部Gは、摺動レール1gに沿って摺動する摺動ボックス2gを回転自在にローラ3gを設け、摺動ボックス2gに引張りワイヤ4gの一端を結合し、引張りワイヤ4gは案内ロール5g、6gを経て案内され、その他端に重錘7gが結合されるとの構造を有し、使用時にローラ3gにかけられたワイヤには重錘7gによって張力が与えられ、マルチグループプーリ部から出てきたワイヤに所定の張力を与えるとの作用を営むものであること。

(二)  甲第一六、第二二号証、乙第九及び第一〇号証並びに弁論の全趣旨によれば、本件製缶機の販売の際に添付された取扱説明書によると、銅線の仕様について、その直径については一・三八mm及び一・五mmとの指定がされているが、その弾性限度については何らの指定もなく(甲一六の二頁)、かえって「仕様に合った銅線で、正しく調整された機械においては、溶接後の銅線の伸びは二%以下でなければなりません。」(同二七頁)と記載されていることが認められ、本件製缶機に使用される銅線は、前記認定の弾性限度を規定する〇・〇一ないし〇・〇三%以上の伸びが生じるものであっても使用可能であることが明らかにされている。

(三)  乙第一六号証によると、台隆印鉄に販売された本件製缶機において、溶接時の溶接点における銅線ワイヤの伸びの測定結果をみると、少ないものでも一・六一%の伸びがあることが認められる(なお、この測定結果によると、伸びの大きいものは五%を超えており、前記2の取扱説明書の「溶接後の銅線の伸びは二%以下でなければなりません」との記載部分からすると、全面的には信用し難いものであるが、〇・〇一ないし〇・〇三%という数値はもちろん、原告主張にかかる〇・二%という数値をも大きく超えるという限度においては信用できるものと認められる。)。

4  前記2及び3項における本件特許請求の範囲についての検討結果と、右3項における本件製缶機に関する各事実を総合すると、本件製缶機においては、本件発明における「弾性限度」を規定する永久ひずみの数値と認められる〇・〇一ないし〇・〇三%を超え、更には原告主張にかかる〇・二%をも大きく超える二%の伸びを生ずる電極線を使用することが可能であるというべきであるから、本件製缶機は本件発明の実施にのみ使用される装置であると認めることはできない。

加えていうと、本件製缶機においては、右のように生じた電極線の伸びをワイヤブレーキ部B、中間ワイヤテンション調整部D、マルチグループプーリ部F及び最終ワイヤテンション調整部G等により吸収するものということができるから、本件製缶機による溶接方法は、伸びの生じない電極線を使用することによってループの発生を回避し、これにより連続的な溶接作業ができるようにした本件発明にかかる方法とは技術的思想を異にするものといわなければならない。

三  以上のとおり、原告の本訴請求は、理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 一宮和夫 裁判官 足立謙三 裁判官 前川高範)

物件目録

-DODO全自動フリーサイズ溶接製缶機の説明-

1. 溶接製缶機の概要

DODO全自動フリーサイズ溶接製缶機は、電気めっきされたブリキ板(板厚0.15mm~0.32mm±3.0%以内)を方形に切断したブランクを、その側端部が僅かにオーバーラップするよう、円筒状に丸めて缶胴を形成し、この缶胴のオーバーラップ部を、大、小のローラ電極間において、使用時には、単線の銅線からなるワイヤを介在させ、オーバーラップ部の側縁を押しつぶしてマッシュシーム溶接して、缶胴のシーム(Seam、継ぎ目)を溶接するものであって、この溶接製缶機は、缶胴形成セクションならびにマッシュシーム溶接セクションからなっている。

2. 溶接製缶機の各セクションの概要

この中で、マッシュシーム溶接セクションは、第1図に示す通り、クリーナ部A、ワイヤブレーキ部B、ワイヤプロファイル部C、中間ワイヤテンション調整部D、溶接部E、マルチグループプーリ部F、最終ワイヤテンション調整部G、ワイヤカッティング部Hからなっていて、使用時には、これら各部間に、案内ローラを介して、ワイヤが巻き掛けられてて連続的に走行するようになっている。

そこで、マッシュシーム溶接セクションの各部を、第1図を中心として説明すると、次の通りである。

なお、各部の構成部材は、各部毎にその部の記号をサフィックスとして付けて区別している。

3. クリーナ部の作用

まず、クリーナ部Aは使用時に供給されるワイヤの表面から錆、汚れ等を除去し、併せて、ワイヤブレーキ部Bへ定位置でワイヤを供給し、ワイヤブレーキ部Bにおける制動作用によりワイヤのたるみをなくして張力の調整を容易にするものである。

4. クリーナ部の構造

クリーナ部Aの構造は、2枚のディスク1a(第1図では一方のディスクのみしか示していない。)対向して配置され、各対向面にはフェルト(図示せず)が張られている。ワイヤは両側のフェルトによって押圧された状態でその間を通過し、ワイヤは両側からフェルトで狭まれているため、一定の位置を通過する。このため、ワイヤがクリーナ部Aを通過することによって表面の錆、汚れ等が除去され、ワイヤブレーキ部Bに対して常に定位置でワイヤが供給される。

5. ワイヤブレーキ部の作用

次に、ワイヤブレーキ部Bは、ワイヤに制動力をかけワイヤの伸び吸収するものである。

6. ワイヤブレーキ部の構造

ワイヤブレーキ部Bの構造は、案内ローラ1bとブレーキディスク2bとからなって、ブレーキディスク2bによって制動力がかけられる。すなわち、ブレーキディスク2bは、その外周にワイヤのガイド溝(図示せず)が形成され、回転自在に支承されるが、ブレーキディスク2bの両側面には合成樹脂板(図示せず)が押し付けられ、これら合成樹脂板はばね(図示せず)によって押圧されている。従って、運転中、ワイヤの張力が所定値を超えたときには、合成樹脂板から押圧力(ばねの押圧力)が作用していても、合成樹脂板は潤滑性が確保されることもあって、ブレーキディスク2bは回転し、ワイヤは送られる。これに反し、運転中、伸びによってワイヤがたるんだときには、ワイヤ張力が低下するため、両側の合成樹脂板からの押圧力によってブレーキディスク2bの回転が停止し、この停止の間にたるみ分だけ送られ、ワイヤ張力が所定値以上に復帰したときにブレーキディスク2bは回転し、このようにしてワイヤのたるみがなくなる。

7. ワイヤプロファイル部の作用

次に、ワイヤプロファイル部Cは、溶接部Eにおけるマッシュシーム溶接を実現するために、円形断面のワイヤを缶胴のオーバーラップ幅より大きい幅を持つ平状断面のワイヤに成形するものである。

8. ワイヤプロファイル部の構造

ワイヤプロファイル部Cの構造は、案内ローラ1cと一対の成形ローラ2c、3cとからなって、案内ローラ1cからの銅線ワイヤは、一対の成形ローラ2c、3c間に入って、平状断面に成形される。

9. ワイヤプロファイル

ローラ2c、3cは、第2図aに拡大して示すような円形断面の銅線から成る銅線ワイヤを第2図bに拡大して示すような平状断面の銅線に縮小成形して溶接材としての缶胴と銅線の接触面を大きくしかつ均一にしている。例えば第2図aに示す断面形状の電極銅線のワイヤが第2図bに示すように縮小されて成形されるので、弾性限度の引張力が高められた硬銅線となる。第1表にこの成形された電極銅線の特性を示す。

第1表

弾性限界値 329N/mm2〓33.5kgf/mm2

引張り強さ 354N/mm2〓36.1kgf/mm2

10. 中間ワイヤテンション部の作用

次に、中間ワイヤテンション調整部Dは、使用時にワイヤが巻掛けられるローラの移動によってワイヤに所定の張力を与えるものである。

11. 中間ワイヤテンション部の構造

中間ワイヤテンション調整部Dの構造は、軌道レール1dの外周に摺動ボックス2dを摺動自在に設け、摺動ボックス2dはばね4dで加圧支持し、しかも、摺動ボックス2dにはローラ3dを回転自在に取付けて成るものである。従って、ワイヤ張力が下がらないように、ローラ3dは摺動ボックス2dとともにばね4dに押されて、第1図で紙面右方向に摺動し、この摺動によってワイヤの張力を一定に保持する。

12. 溶接部の作用

次に、溶接部Eは、大、小ローラ電極間において、使用時には、第2図bに示すような上下の面が平坦な断面の電極銅線を介在させて、缶胴搬送セクションTにより、送られる缶胴のうちオーバーラップ部を加圧かつ通電し、缶胴のシームを溶接し、併せて、オーバーラップ部を電極銅線の平坦な面により、押圧して、マッシュシーム溶接するものである。

13. 溶接部の構造

この溶接部Eの構造は、大小ローラ電極1e、2eが回転自在に互いに対向して配置される。大ローラ電極1eは第3図aの側面図に示すように構成されており、131はワイヤを電極銅線として巻掛けて収容する溝である。第3図bおよび第3図cにそのガイド溝131の部分が拡大して示されている。第3図bの大ローラ電極1eは銅線の直径、1.38mmと1.4mm用のものであり、第3図cのそれは1.50mm用のものである。小ローラ電極2eは第4図aの側面図に示すように構成されており、図中171はワイヤが電極銅線として巻掛け収容されるガイド溝である。なお直径が1.38mmおよび1.4mmの電極銅線用の溝171を有する小ローラ電極2eのガイド溝の拡大部分を第4図bに示し、直径1.50mmの電極銅線用の溝171を有する小ローラ電極2eのガイド溝の拡大部分を第4図cに示す。第5図a及び第5図bはそれぞれ大ローラ電極1eと小ローラ電極2eおよび電極銅線としてのワイヤ30ならびに缶胴40との共働関係を説明するための側面略図および正面図である。大電極ローラ1eは支持アーム(図示せず)の先端で支持され、しかも、ばね力が調整できるばね3eによって下向きに押圧される。更に、大ローラ電極1eはモータ(図示せず)によって回転駆動される。小ローラ電極2eは電流が通電する支持バー4eの先端で回転自在に支承される。従って、大ローラ電極1eは、使用時には、介在するワイヤの張力のほかにモータの回転駆動力が加わって、円滑に回転する。小ローラ電極2eは使用時に介在するワイヤの張力によって回転する。大ローラ電極1eおよび小ローラ電極2eは抵抗溶接時に発生する熱を受けるので、冷却水路からの冷却水の供給、貫流排水により、冷却される。小ローラ電極2eは、使用時に介在するワイヤの張力によって回転する。このように回転する大小ローラ電極間において、缶胴23のオーバーラップ部の表面に、ワイヤの平坦面が接触して、大ローラ電極に作用するばね3eの押圧力によって缶胴40のオーバーラップ部に溶接に必要な溶接圧が加えられて、マッシュシーム溶接される。

14. 溶接作用の詳細

更に詳しく説明すると、使用時に介在するワイヤの断面は平状であって、幅、なかでも、平坦面部分の幅が缶胴40のオーバーラップ部の幅より大きい。このため、缶銅40のオーバーラップ部を含む缶胴面にワイヤの平坦面が接触し、この平坦面には前者の大ローラ電極を介してばね3eの押圧力からなる加圧力が大電極ローラ1eと小電極ローラ2eにそれぞれ巻掛けられたワイヤの缶胴のオーバーラップ部を含む缶胴との接触面に溶接圧として作用し、オーバーラップ部はマッシュシーム溶接される。すなわち、小ローラ電極2eの上下位置が固定されているので、ばね3eの押圧力が大ローラ電極1eを介して、大ローラ電極1eに巻掛けられた電極銅線ワイヤ30、缶胴40のブランクシートのオーバーラップ部、小ローラ電極2eに巻掛けられたワイヤ(電極銅線)30ならびに小ローラ電極2eに可変ばね圧として加わる。要するに、このばね3eによる可変ばね圧の調節によって大電極ローラ1eと小電極ローラ2eにそれぞれ巻掛けられたワイヤ(電極銅線)の缶胴のオーバーラップ部を含む缶胴の接触面に加えられる溶接圧が調節できる構造に構成されている。

大小ローラ電極間において、缶胴23のオーバーラップ部の表面に、ワイヤの平坦面が接触して、「ばね3eの押圧力」によって缶胴40のオーバーラップ部に溶接に必要な溶接圧が加えられて、マッシュシーム溶接される。

15. マルチグループ部の作用

次に、マルチグループプーリ部Fは、使用時にかけられたワイヤを引張って駆動し、小ローラ電極2eをはじめとして各部や案内ロールを駆動させるものである。

16. マルチグループプーリ部の構造

マルチグループプーリ部の構造は、裁頭円錘状の駆動プーリ1fと円筒状のプーリ2fとから成って、駆動プーリ1fの円錘表面には、径の異なったワイヤの案内溝(図示せず)が複数個設けられ、これら各案内溝に対応してプーリ2fの円筒表面には、径の等しいワイヤの案内溝が複数個設けられている。駆動プーリ1fは駆動モータ(図示せず)に接続され、この駆動モータの回転駆動力がワイヤの張力として伝達されるよう、構成されている。

17. 最終ワイヤテンション調整部の作用

次に、最終ワイヤテンション調整部Gは、マルチグループプーリ部から出た来たワイヤに所定の張力を与える。

18. 最終ワイヤテンション調整部の構造

最終ワイヤテンション調整部Gの構造は、摺動レール1gに沿って摺動する摺動ボックス2gに回転自在にローラ3gを設け、摺動ボックス2gに引張りワイヤ4gの一端を結合する一方、引張りワイヤ4gは案内ローラ5g、6gを経て案内され、その他端に重錘7gが結合されている。従って、使用時にローラ3gにかけられたワイヤには、重錘7gによって張力が与えられる。また、ローラ3gの移動位置を検出端子8g、9gによって検出し、この検出量によって、ワイヤカッティング部Hの切断速度を制限する。

19. ワイヤカッテング部の作用

次に、ワイヤカッティング部Hは、使用されたワイヤを取り扱い易い寸法に連続的に切断するものである。

20. ワイヤカッテング部の構造

ワイヤカッテング部Hの構造は、一対の案内ローラ1h、3hと、表面に切断刃(図示せず)を有する切断ローラ2hと、この切断ローラ2hにワイヤを押付ける押圧ローラ4hとから成って、このうち、切断ローラ2hはモータ(図示せず)で駆動され、モータの回転速度は、検出端子8g、9gで検出される信号に応じて制御される。従って、一対の案内ローラ1h、3hで案内されたワイヤは切断ローラ2hと押圧ローラ4hの間を通る間に所定寸法に切断され、下向きに落下する。

21. その他の部分の構成

なお、第1図において、符号10は断線検出器、11~23は案内ローラを示す。

22. 溶接製缶機の動作

また、以上の通りに構成されるDODO全自動フリーサイズ溶接製缶機は、購入先のユーザで市販の導電率100%の円形断面を有する銅線ワイヤを巻かけて運転し、缶胴を成形し、この缶胴オーバーラップ部をマッシュシーム溶接により溶接している。その運転は第6図に示す通りである。なお、第6図で、符号30は使用時にかけられる銅線ワイヤを示し、なかでも、一点鎖線は銅線ワイヤの断面が円形状、実線は銅線ワイヤの断面が平状に成形されている場合を区別して示す。

ワイヤの運転態様その1は運転時に第6図に示す通り、1a→1b→2b→1c→2c→3c→14→3d→15→11→12→1e→13→11→16→17→2e→18→19→2f→1f→2f→20→21→22→3g→23→24→1h(3h)→2h(4h)の通りの径路を経て走行する。

なお、11→12間のワイヤの張力は約14.5kgf13→11間のワイヤの張力は約14kgfである。

第1図

〈省略〉

第2図a

〈省略〉

第2図b

〈省略〉

第3図a

〈省略〉

第3図b

〈省略〉

第3図c

〈省略〉

第4図a

〈省略〉

第4図b

〈省略〉

第4図c

〈省略〉

第5図a

〈省略〉

第5図b

〈省略〉

第6図

〈省略〉

〈19〉日本国特許庁(JP) 〈11〉特許出願公告

〈12〉特許公報(B2) 昭55-2158

〈51〉Int.Cl.3  B 23K 11/06 識別記号 庁内整理番号 6570-4E 〈24〉〈44〉公告 昭和55年(1980)1月18日

発明の数 1

〈54〉電気縫合せ抵抗溶接法

審判 昭52-12708

〈21〉特願 昭47-29644

〈22〉出願 昭47(1972)3月24日

公開 昭47-33741

〈43〉昭47(1972)11月18日

優先権主張 〈32〉1971年3月26日〈33〉スイス(CH)〈31〉4489/71

〈32〉1972年2月18日〈33〉スイス(CH)〈31〉2387/72

〈72〉発明者 バウル・オツブレヒト

スイス国ベルクデイーチコン・イム・ヒンテレン・ベルノルト

〈71〉出願人 バウル・オツブレヒト

スイス国ベルクデイーチコン・イム・ヒンテレン・ベルノルト

〈74〉代理人 弁護士 ローランド・ゾンデルホフ

〈56〉引用文献

特公 昭44-25213(JP、B1)

スイス国特許 462979(CH、B)

〈57〉特許請求の範囲

自動溶接機において1つの単線電極と2つの電極支持ローラとを使用して電気縫合せ抵抗溶接する方法において、前記2つの電極支持ローラ間の連続溶接電極線として、溶接領域において前記電極支持ローラの圧力により電極線の変形が生じないように、圧延、引抜、成形または硬化等の加工により引張り荷重に対する弾性限度を増加させた電極線を用いるようにしたことを特徴とする電気縫合せ抵抗溶接法。

発明の詳細な説明

本発明は自動溶接機において単線電極および2つの電極支持ローラを用いて例えば金属板罐胴体を電気縫合せ抵抗溶接する方法に関する。

2つの電極支持ローラを介して移動させられる単線電極を使用して行なわれる電気縫合せ抵抗溶接においては、溶接工程中に単線電極が溶接点で高温に曝らされ圧延すなわち線の伸長と相当する断面積の縮小が生ずることは公知である。この結果両方の電極支持ローラの間にルーブが形成されることになる、その理由は溶接点において第1の電極支持ローラから離れる線が第2の電極支持ローラに供給されるとき、第1の電極支持ローラに進入する線と同じ速度でなければならないからである。然るに両方の電極支持ローラの間では、電極ローラによる線の伸長に相当するルーブが形成される。溶接休止期間中ルーブを伸ばす方法が公知である。然るに所謂自動罐胴製作機械(ABM-Maschin=antomatic body maker)においてはルーブの伸ばしは不可能である。

本発明による方法は電極支持ローラ間の線ルーブの形成を防止するために、電極支持ローラ間の連続溶接電極線として、溶接領域において前記電極支持ローラの圧力により電極線の変形が生じないように、圧延、引抜、成形、硬化等の加工により引張り荷重に対する弾性限度を増加させた電極線を用いて、ルーブの形成を回避しようとするものである。

ローラ圧延では断面縮少は当初の線断面の60~75%に達することがある。

このようなルーブの形成を回避するためには、使用される線の強度に相応して、線を、第1の電極支持ローラに進入する前に、例えば次に生ずる支配的溶接温度での電極支持ローラの溶接圧の下で引伸されたり圧延されたりする線の変形が生じないように引抜いたり圧延したりして、その強度ないし硬度を著るしく上昇させる。望ましくない線の電極支持ローラでの圧延およびこの結果生ずるルーブの形成は、適当に予備圧延することならびに溶接圧を選択することにより、また付加的に電極支持ローラおよび溶接点の領域内にある電極線を良く冷却することによつて防止される。

本発明は、電極線を第1電極支持ローラに進入させる直前に引抜きあるいは圧延するかあるいは、工場において既に希望する強度値例えば弾性限界値を賦与されたより硬い線を使用することを提案する。

次に本発明の実施例を図について説明する。

第1図に示した負荷伸長ないし張力伸長のダイヤグラムは、特性曲線1で、直径1.38nm、8.5kp/nm2の弾性限界値での引り張力σEの銅線の例を示し、特性曲線2は、特性曲線1による相当する円形断面導線を大体(1.46(最大幅×最大高さ)×1.10)nm2の断面に圧延した後弾性限界値での引張り張力σE~25kp/nm2を示す場合の例を示す。

断面を(1.48×1.09)nm2に圧延して弾性限界値での引張り張力をσE~28kp/nm2に上昇させた強度の僅かな上昇の例を特性曲線3で示す。

ダイヤグラムから明らかなように、線を圧延する場合、従つてより硬く引張強度の大きい線の弾性限界値(特性曲線2および3)においては弾性限界値はほぼ3倍の値に上昇することが認められる。従つて例えば溶接時12kp/nm2のローラ圧力が使用されると、線は特性曲線1によつて持続的に変形される。従つてこの線はルーブを形成する。1方引伸されたかあるいは圧延された線(特性曲線2および3)は、弾性範囲内で変形されるので、その当初の形状に復帰する、すなわちルーブを形成しない。

溶接技術上の根拠からまた変形のために、溶接電極をできるだけ大きな面で被溶接物体に載置させることが肝要である、このことは所定の溶接圧力では、相当して面の押圧力は小さくなり従つて余り強くない前方引抜を必要とする。

前述の圧延による硬化法は同様に益々溶接速度を高速化することと同じことである。より高速な溶接速度は、より強い電流強度を必要とする、その理由は溶接点における接触時間が速度に比例して減小するからである。然るに相当する溶接に全体的に供給される電流エネルギー、すなわち〈省略〉(但しR=抵抗、i=電流強度、t=時間)は1定でなければならないので、電流強度iは抵抗Rが1定であると、溶接速度の平方根に相応して変化、従つてこの場合は増加しなければならない。

火花を形成しないこの比較的強い電流強度を作動させるには、より高い溶接圧力か要求されるが、この溶接圧力は生ずる抵抗Rを小さくし、従つて電流iをさらに高める、この電流の高まりは溶接圧力比の平方根に比例して上昇する。

溶接圧力の上昇につれて、機械的強度を確保するために、相当する部分例えば溶接アームの設計をより精密にする必要がある従つて同様にこの面からも電極線の被溶接物に対する当接面をできるだけ大きくすることが有利である。この方法によると同時にビード割れに基づく溶接縫合個所のビード縁取りの形成を大幅に不可能にするところの切欠き効果が低下される。

広汎な実験の結果判明したことは、第2図~第5図に示した線断面とし両方の電極ローラ(この軸は第2図では鎖線で示してある)に電極線を収容するために相当する溝を設けると優秀な結果を生ずるということである。扇形断面(第2図)の中心角は例えば90°付近とすると好適であり、1方楕円形輪郭線の頂点における曲線率半径は2~4nmである。銅線自体の断面は例えば1.5~3nmである。

円形断面の線を圧延または引抜すると、断面の縮小は円形断面の60-75%になる、従つて直径1.38nmの円形断面の線が圧延後例えば1.0nm2の扇形面を示すようにすると好適である。この場合圧延は電流の流通方向に行なわれる。

第3~5図は円形またはレンズ状断面の線および直線または凸面状に湾曲した側面を有する他の扇形線断面を示す。円形断面の線を溶接機のローラブロフイル形成装置において直接セクタ形断面の線に変形し引抜くことは可能である。

楕円セクタ状断面を有する線は従来溶接技術上極めて良好な不変な結果をもたらしていた。線とローラとの間の接触面は円形断面線の場合よりも約40%だけ大きい。従つて希望通り定格負荷電流および線とローラとの加熱が僅少となる。従つて線を灼熱し延伸する必要がなくなる。ローラ内において線を側方に案内すること従つて溶接片上に案内することがより容易であり線の側方への逸走が生じない。ローラの溝内を良好に線を案内させる結果、誤溶接を招来する例えば楕円体状溶接接触面の側方ねじれはほぼ除去される。溝の側面におけるローラと線との間の接触圧は線の楔作用によつて高められる。この結果同じく希望通り加熱を軽減し電流通過を良好にすることができる。線の断面側面を直線状にすると電極ローラの両側の側面の成形を特に簡単に行なうことができる。

さらにローラの溝から線を介して溶接個所に通ずる電流の通路を短かくすることにより、線の加熱を確実に軽減することができる。このような利点は、例えば、大電力および例えば15m/min。以上の回転速度を有する溶接機械において特に顕著である。例えば第4図および第5図に示すような凸面側面を有する線断面の場合は、3個の全湾曲面を同じ長さとしφ=60°が(3×60°)となるようにすると好適である、その理由は、その都度100°回転させることにより3つの全側面を溶接線として使用することができ溶接の両側面を錫の付着していない線の表面と接触させることができるからである。

本発明の思想によれば低い溶接圧で操作することができ、また溶接速度をさらに増加することができる、あるいはまた線を予じめ圧延しておけば後で圧延されたりルーブ形成の危険が除去される。従つて完全に制御して線を案内することができる。このことは、単線電極が第2電極案内ローラに進入する際表面の汚損のために重要である。さらに溶接圧を低下させることによつて溶接機の構造をより簡単にすることができる。

前述のように予備圧延することのみによつて、溶接工程を改善することができる。すなわちルーブを無くすることになるのみならず、線の案内を改善すること、設計上の負担を軽減すること、電流の移行を良好にすることおよび縫合せビード縁取りの形成を容易にすることによつて溶接工程の改善が行なわれる。

線を後方に引張る上部ローラヘツドを取外すことなく自動溶接機械において、両電極支持ローラを順次貫通する単線電極によつて連続加工を行なうことができる。

図面の簡単な説明

図は本発明の説明に供するもので、第1図は負荷伸張ないし張力伸長ダイヤグラムを示す線図、第2図は被溶接体と溶接部分で切断して示した楕円セクタ形線断面を有する電極線とを設けた2つの電極ローラの略線図、第3図は扇形線断面の略線図、第4図は凸面側面を有する楕円セクタ形線断面の略線図、第5図は凸面側面を有するレンズ形セクタ類似の線断面の略線図である。

第1図

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第2図

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第3図

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第4図

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第5図

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特許公報

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